2008年08月12日

グルジア

なんでグルジアは、オリンピックの開会式直前に南オセチアを攻撃
したのか? ブッシュは国連を無力化するために潘基文を選んだ?


ロシア軍、州都ほぼ制圧=グルジア
南オセチア自治州の州都ツヒンバリ中心部で、破壊されたグルジア軍戦車のそばを通り過ぎる分離派兵士。グルジア軍がツヒンバリから撤退を開始し、ロシア部隊が州都の大部分を支配下に置いた(10日、グルジア)


◆米・グルジアVSロシア・南オセチア戦争 8月10日 ロシア政治経済ジャーナル

▼グルジアと南オセチアってなに?

まず基本から。グルジアと南オセチアの関係について。

グルジアは、カフカスにある国です。北はロシア、南はトルコ、東はアゼルバイジャンと接している。この国は、もともとソ連の一部。他の旧ソ連諸国同様、ソ連崩壊のドサクサにまぎれて独立をはたしました。

で、南オセチアってなんだ? 法的には、グルジアの自治州(南オセチヤ自治州)ということになっています。ここにはグルジア人とは違う、オセチア人が住んでいる。1990年4月、南オセチアは主権宣言をおこないました。つまり、どさくさにまぎれて自分たちも独立してしまおうと考えた。

ロシアのチェチェン共和国や、(旧ソ連ではありませんが)セルビアのコソボとよく似たケースといえるでしょう。

1991年1月、グルジアとオセチアの紛争が勃発。1992年1月、南オセチアで、「独立」に関する住民投票が実施され、92%が独立に賛成しました。同年5月、南オセチア共和国最高会議は、国家独立法を採択。同6月、停戦合意。

同7月、ロシア平和維持軍が配置された。1993年、南オセチア最高会議は、憲法を制定1996年11月、南オセチアではじめての大統領選挙実施。このように、南オセチアは92年以降、実質独立状態にある。しかし、国際的に承認されたわけではない。いまだに国際法的には、グルジアの自治州という位置づけなのです。

▼なぜ今?

南オセチアは、実質16年間も独立状態にある。グルジアはなぜ今になって、南オセチアへの攻撃を開始したのでしょうか? これはセルビアのコソボ自治州が、実質独立を勝ち取ったことと関係しているのです。コソボは08年2月、一方的に独立を宣言しました。その主張は、

・コソボ住民の90%はアルバニア人である
・アルバニア人はセルビアからの独立を望んでいる
・民族自決権により、セルビアはコソボの独立を認めるべきだ

さらに、セルビアがかつて「民族浄化を行った」という話が、コソボ独立を後押ししました。そして、欧米のほとんどの国が、コソボを独立国家として承認してしまった。

「領土保全の原則」「民族自決権」

この二つは矛盾するのですが、領土保全の原則が通常上とされてきました。それで普通、独立を目指す側は、話し合うか独立戦争をして、本国に独立を承認させるのです。他国が新独立国を承認できるのは、通常その後になります。

しかし、コソボの場合、セルビアが納得しないまま、欧米は独立を認めてしまった。それで、ロシア外務省は、08年2月17日にこんな声明を出しました。

<ロシア指導部は従来、「コソボ独立が承認された場合には世界的に適用される『前例』となり、国際秩序の崩壊を招く」などと主張してきた。17日の外務省声明も、同様の論法からコソボ独立の「危険な結末」を強く警告している。>(産経新聞 2月19日)

コソボの動きを見た南オセチアは、「南オセチア住民の90%以上は、グルジアからの独立を望んでいる。コソボがOKなら、俺らもOKだろう」ということで、旧ソ連諸国で形成される独立国家共同体(CIS)および国連に、独立承認を求める決意を固めていったのです。

一方ロシアは、NATO入りを目指すグルジアを憎んでいますから、南オセチアに対する支援を強めていきました。これに危機感を感じたグルジアが、独立を阻止するために今回南オセチアの首都ツヒンバリに進攻した。そして、ロシアの平和維持軍司令部や兵舎も空爆。ロシア軍はこれに反撃した。

この原稿を書いている時点で、南オセチア住民の犠牲者は2000人とつたえられています。グルジアは、一時ツヒンバリを支配した。しかし、ロシア軍は首都からグルジア軍を排除することに成功しています。

さらにロシア軍は、南オセチアと共にグルジアからの独立を求めるアプハジアでもグルジア軍を空爆している。全面戦争の様相を呈してきました。

▼米ロ新冷戦のはじまり

基本を見てきました。これだけだと、「グルジアの国内問題にロシアが介入したのね」と思える。しかし、この戦争は実質米ロの戦争なのです。「あ〜陰謀論ね」新しい読者さんはそう思うでしょう。しかし、読みすすめていくうちに、事実であることをご理解いただけるはずです。

米ロ関係を超特急で振り返ってみましょう。00年、プーチンが大統領に就任。01年、プーチンはアメリカのアフガン攻撃を支持。両国関係は改善される。02年〜03年、ロシアはアメリカのイラク攻撃に最後まで反対。両国関係は悪化する。

しかし米ロ関係が決定的に悪化したのは、いわゆるユコス問題が原因でした。アメリカ(具体的にはエクソンモービル・シェブロンテキサコ)は、ロシアの石油最大手(当時)ユコスの買収交渉を進めていました。アメリカは戦争により、イラクの石油利権を独占した。今度は、世界埋蔵量14%を占める石油大国ロシアの利権に食いこみたい。

ところがプーチンの命令により、ロシアの検察は、ユコスのホドロコフスキー社長(当時)逮捕してしまいます。そして、ユコス売却の話は流れました。ユコスはその後、国営石油会社ロスネフチに吸収されます。プーチンの「ロシアの石油利権はアメリカに渡さない!」という強い意志表示に、アメリカは激怒。アメリカは、「ロシア封じ込め」を決意したのでした。

(中略)

▼サアカシビリは、アメリカの許可なしで動かない

つまりこういうことです。グルジアの現大統領サアカシビリは、アメリカの傀儡である。よってアメリカ政府の命令・あるいは許可なしで、軍事行動を起こすことはありえない。つまり、グルジアと南オセチアの戦争は、アメリカの命令か許可のもとに行われている。

グルジアの動機は、南オセチアの独立を阻止すること。これはわかります。では、アメリカの動機はなんなのでしょうか? RPE読者の皆さまならおわかりでしょう。ロシアは、現在アメリカで起こっている危機の原因を作り出している。具体的にいうと、ロシアは意図的にドル体制を崩壊させている。

それでどうなったか? ドル体制が揺らいできたので、アメリカへの資金流入がとまったのです。そして、

1、住宅バブル崩壊
2、サブプライム問題顕在化
3、アメリカ経済危機

そんな中、ロシアは史上空前の原油高により、相変わらずの好景気を謳歌している。(最近下がってきましたが。)アメリカは憎きロシアを封じ込めるために、

・東欧MD計画
・反ロ軍事ブロックNATO拡大(特に、旧ソ連のウクライナ・グルジア)

等々さまざまな攻撃をしかけている。そして、アメリカに忠実なサアカシビリは、「NATO入りを目指す」と宣言したり、ロシアのWTO加盟を邪魔するなどして、役割を果たしてきました。

▼機能不全の国連

米ロが対立をつづけているため、国連は機能不全に陥っています。国連安保理は、戦闘行為の即時停止を求める声明を出そうとしています。しかし、アメリカ・グルジアとロシアの主張が真っ向から対立し、結論が出ない状況なのです。

アメリカとグルジアは、「グルジアの領土主権を尊重し、ロシアは即座に撤兵せよ」と主張。一方ロシアのチュルキン大使は、「グルジアは南オセチアで民族浄化を行っている。既に1300人以上が犠牲になっている」と主張。逆にグルジアを非難しています。

どちらの主張が正しいのでしょうか? これは、一概にはいえません。確かに、国際法的に南オセチアはグルジアの一部。グルジアが南オセチアに派兵することは、国内問題ともいえます。ただ、グルジアが停戦合意を一方的に破り、攻撃をしかけたこと。ロシアの平和維持軍を先に攻撃したこと。南オセチアの一般人をたくさん殺していること。これらはどうなのでしょうか。

また、アメリカは過去、同様のケースで、今回のロシア同様、独立派を支持したことがあります。そう、セルビアからの独立を求めるコソボ。アメリカが現在展開している論理であれば、コソボ問題はセルビアの国内問題でしょう。

ところが、アメリカとNATOは、「セルビアがコソボで民族浄化をしている」とし、セルビア空爆に踏み切りました。そして、最終的にセルビアの意向を無視して、コソボを一方的に独立させてしまった。ロシア側からいわせれば、「ロシアはアメリカと同じことをしているだけ」となる。

一方ロシア側にも矛盾があります。ロシアは、独立を目指すチェチェン共和国を攻撃した際、一貫して「これはロシアの国内問題だ」としてきました。要するに、アメリカもロシアも、自国に都合のいい論理を展開しているだけ。それで、一概に善悪を判断することはできないのです。

私たちは、アメリカとグルジアの主張はこう、ロシアの主張はこうと事実だけをおさえておけばよいでしょう。

▼アメリカの目的

この戦争はいつまでつづくのでしょうか? 答えは、「アメリカがグルジアに命令をくだすまで」となるでしょう。アメリカとグルジアの狙いは二つあると思います。

一つは、国際社会におけるロシアの評判を失墜させること 私は最初、「なんでグルジアは、オリンピックの開会式直前に南オセチアを攻撃したんだろう?」と疑問に思いました。しかし、アメリカ・イギリスのテレビを見ていて納得しました。

米英の放送を見ていると、「ロシアがオリンピック開催日にグルジアを侵略した!」というニュアンスなのです。グルジアが最初に南オセチアを攻めたこと、そして、ロシアの平和維持軍も攻撃されたことなどが、まったく無視されています。そのため、米英では「悪いロシアがかわいそうな小国グルジアを攻めた」と刷り込みが行われている。

二つ目は、南オセチアの平和維持軍をロシア軍からNATO軍にきりかえること。グルジアは、停戦の条件として、「南オセチアとグルジアの間に展開する平和維持軍をロシア軍ではなく、NATO軍あるいは国連軍にすること」を求めてくると思います。

そうなれば、NATO加盟国でないグルジアでも、実質NATOに守られることになる。当然、南オセチアの独立は不可能になるでしょう。いずれにしてもアメリカは今後、「ロシアは悪の帝国」というプロパガンダを展開していきます。そして今回の戦争も、最初のきっかけは忘れ去られ、「ロシアがグルジアを侵略した」という方向に変わっていくでしょう。

ですから皆さんは、8月9日付けの新聞を大切に保管しておいてください。そこには、「グルジア、南オセチアに進攻」とあるはずです。

▼ロシアはいかに対抗するか

一方、情報戦ですでに苦境に立たされているロシア。これからどうするのでしょうか?グルジアが疲労して停戦に応じるまで、戦いつづけるということでしょう。ロシアは、グルジアの背後にいるアメリカへの憎悪をますますつのらせていきます。そして、アメリカを没落させる手を打っていく。

例えば、イランを守る。(イランは、ドルではなくユーロ・円で原油を輸出している。)例えば、ルーブルによる原油輸出を増やすなどして、ドル体制をますます崩壊させていく。

▼結局特をするのは?

19世紀の覇権国イギリスは、ライバル・ドイツと二回戦争をし、二回勝ちました。しかし、なぜか覇権国家から没落していった。第1次大戦後、経済覇権はアメリカに移り、またソ連が誕生した。

第2次大戦後、世界はアメリカとソ連の二極時代をむかえた。そして、アメリカが欧州の西半分を、ソ連が東半分を支配する時代になった。イギリスがドイツと戦っている間に、米ソが台頭したのです。今回は、アメリカとロシアが戦っている間に、中国とインドが漁夫の利をえることでしょう。

おろかな。。。



北京オリンピックを待っていたかのように開始されたロシア軍とグルジア軍との戦闘は、先に手を出したのはグルジア軍らしい。問題が複雑なのは南オセチアが分離独立を求めていることであり、グルジアがそれに反対してロシア軍が停戦監視に入っていたことだ。

「ロシア政治経済ジャーナル」の解説によれば、セルビアからの分離独立を求めるコソボと状況はよく似ているらしい。南オセチアは1990年4月に主権宣言を行なってソ連崩壊のドサクサにまぎれて独立しようとした。それに対してロシアとグルジアが対立しているわけですが、日本人には理解しづらい問題だ。

私自身はグルジアと言えばグルジア人の国家と思っていたのですが、南オセチアに住むオセチア人はグルジア人とは違う民族らしい。あのあたりは民族がモザイクのように複雑に入り組んで分離独立運動があちこちであるらしい。

コソボはアメリカがセルビアからの分離独立を認めたわけだから、南オセチアも認めてしかるべきですがロシアのほうがグルジアからの分離独立に加担している。民族独立の大義もへったくれもないアメリカとロシアの代理戦争な訳です。

中国においては新疆ウイグル自治区の分離独立運動などがありますが、ロシアや中国などは多民族を束ねた国家であり分離独立は認められないはずだ。だからアメリカはコソボでは分離独立を認め南オセチアではグルジアの味方をして分離独立は認めないと言うダブルスタンダード外交だ。要するにロシアもアメリカも中国も大義など始めから持っていない。

グルジアとしてはアメリカを後ろ盾とした外交を行なっているのですが、南オセチアに軍を進めたのもブッシュからの指示があったからだろう。そうすれば停戦監視軍のロシア軍と衝突するから、国際問題化してロシアを揺さぶろうと言う作戦なのだろう。

極東においてもアメリカは北朝鮮を極東のグルジアにして中国との国境紛争を起こして中国を揺さぶる戦略を持っているのかもしれない。アメリカとしてはイラクで手一杯でありプーチンのロシアの攻勢に対抗するには親米国家を動かしてロシアを困らせるくらいしか出来ない。

軍事力から言えばロシアとグルジアとでは比較になりませんが、グルジア軍はアメリカからの軍事支援を受けて強化されている。外交的にもウクライナやグルジアはNATO入りしてロシアと対峙しようとしている。そうなるとロシアは西と南から隣接してNATOによって囲まれた形になり認められない。

今日のニュースによればグルジア軍は南オセチアの州都から撤退したようですが、ロシア軍は海からもグルジアを包囲して空と海からの攻勢を強めている。本来ならば国連が動いて調停すべき状況なのですが安保理では米ロの非難合戦が始まっている。

国連の潘基文事務総長は声明を発表しましたが、米ロに対してどれだけ仲裁に動けるのだろうか? 潘基文事務総長はブッシュの後押しで国連事務総長になれたのですが、縁故主義的な人事を行なって顰蹙を買っており日和見なところがあり働きには期待が出来ない。ブッシュは国連を弱体化させるために起用したのかもしれない。

グルジアは人口が470万人ほどの小さな国であるにもかかわらず、さらにそこから南オセチアやアブハジアなどが分離独立を求めているのですが、コソボも人口200万人程度の小さな国であり、民族独立が正しいイデオロギーなら何千という民族が独立を求めて動き出すかもしれない。

中国にも55の民族がいるわけであり民族独立で55の共和国が出来るというのは中国から見ればとんでもないことだ。ロシアにもチェチェン紛争を抱えて民族問題は国家的問題でありアメリカはそこを突いて出てきている。

いずれにしてもグルジアではアメリカとロシアとの代理戦争が行なわれているのですが、北京ではオリンピックがそのまま開かれている。まさにオリンピックは平和の祭典だったのですが、オリンピックの休戦は神話になってしまったようだ。

posted by 伊藤園 at 14:15| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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